「伝統」などと、偉そうに言っていても・・・
結花に時々来て下さる、朗読家の森優子さんと、演出家の鈴木之彦さんが一昨日来て下さいました。
その日は、葛飾区の小学校で、太宰治の「走れメロス」の朗読のお手伝いをしてきた、というお話
でした。
子どもたちも先生も、思ったより本格的な演出だったのでビックリされていたそうです。
でも、話していて実は私、恥ずかしいなあという思いになっていました。
偉そうに「伝統文化を伝えていくために結花は・・・」なあんて、言っていますが、日本文学の殆ど
を、読んだことがないのです。
これはいかん、今からでも取りあえず取っ掛かりに「走れメロス」を読んでみようかしら?
矢切にちなんで「野菊の墓」は二度ほど読んだのですが・・・。
父が大変な本好きなのに、私はどうしてこんなに本を読まずに来たのか?
私が子どもの頃、父からことあるごとに「本を読みなさい」と言われており、正直重かったですね。
自分にとって魅力的な本に出会わなかったこともあるのかな〜。
父から渡される本は、どれも私にとってはレベルが高くて、読む気がしなくて(父と私の知性のレベ
ル差があり過ぎなんです!)。
まあ、人のせいばかりには出来ませんが、読書の楽しさを知ったのはすごーく遅くて、23歳くらい
の頃だったと思います。
それは、興味の対象が出来たからでした。
「環境保護」。
一番初めに影響を受けたのは、書店で何気なく手にした「自然流せっけん読本」(森田光徳著:農文
協)でした。
合成洗剤で儲かっていた会社の社長さんであった著者が、ある時にその害に気付き、全てを捨てて、
せっけんの会社を作り、歩んできた苦労の歴史。「この社長さんはホンモノだ!」と、とっさに思い
ました。
合成洗剤がどうして悪いのか、何故せっけんなのか。社会の仕組みや、私たちが知らないうちにコン
トロールされているCMの影響などが語られ、大変勉強になる本でした。
だから結花では合成洗剤は使っていないのです。
ただ、若かっただけに(性格としても)思い込みが激しくて、色々なことにストイックになりすぎて
家族や友人には迷惑をかけたこともありました(今では反省しています!!!)。
更に、当時私が仕事としていた建築設計の仕事が、知らないうちに熱帯雨林の森と人々とを苦しめて
いるということを知ったからでした。私が出来ることは何かないのだろうか?とにかくまずは知らな
くちゃならない・・・。
設計や建築現場。仕事をしていても、頭のどこかで苦しかったです。
とにかくそんな訳で、遅咲きながら少しは読書をするようになったのです。
私の知識は、本当に少なく、また偏っているのですが、日本人ならせめて有名な文学作品のいくつか
は、読んでおきたいものですねえ・・・。