サラワクの話5 〜私が訪れたジャングルの村〜

マレーシアのサラワク州。カリマンタン島(ボルネオ島)の東側に位置します。

現在もここから沢山の木材が輸入されています。更に彼らを苦しめている問題は、

パームオイルを採るための油ヤシの広大なプランテーションです。

日本でも、あらゆるところにパームオイルが使われています。アイスクリームや揚

げせんべいなどの食品や、せっけんなど。結花で使用しているせっけんにも・・・。

つまり、日本人が深く関わっている問題、と言えるのです。


私が結花にこうして関わるようになったことと、サラワクの熱帯林を守る運動をし

てきたことは、繋がっていると感じています。


さて、R子さんとHリーの結婚式の話です。

R子さんとHリーは、結婚式をケラビット族の伝統的なやり方で行いたいと望みま

した。

悲しいかな、こんな山奥のジャングルの村においても伝統は失われつつありました。

結婚する人はみな街へ出て、西洋風のドレスを着て写真を撮るのです。それが文明

的で、かつ憧れでした。

ですから、伝統的な結婚式を行うには、まずお年寄りから取材を始めなければなら

なかったそうです。

どんな儀式で、どんな料理で、どんな衣装で・・・。

何もかも用意しなければならなかった。

それでも二人は、ケラビット族の伝統を守りたかったのでしょう。


それが・・・結婚式は三日三晩通して行われました!うーん、長過ぎる〜。


(長いので、ここでは一日目の結婚式の様子をご紹介します。)

新郎新婦の衣装は黒のベッチン風の布(ジャングルだというのに!!)に、黄色や

赤色の明るく鮮やかなビーズ飾りが沢山ついたものでした。新婦の頭、手首、足首

にも明るいビーズ飾りが。

男の子と女の子の子どもの代表が新郎新婦を引き連れて入場です。


ご両人が定位置につくと、まずはお祈り(現在彼らは敬けんなクリスチャンなので

す)。それからお互いに出された料理を食べさせる儀式。

あと何をしたかしら?詳しくは忘れちゃいましたが・・・。

彼らは普段、肉は食さないようですが、結婚式となると特別のトクベツです。

なにしろ、この日のために用意された”山イノシシ(豚)”2頭(もちろん寸前まで生

きてました)を解体して、スープと、あぶった肉が並べられました。彼らにとっては

滅多に口に出来ないご馳走なのでしょう。

しかし、スープは、スープと言うよりは”搾った脂”と言った方がしっくりきそうなも

ので、これは日本人にはかなりキツくて私は少ししか食べられませんでした。

お肉はとても美味しかったですが、取りきれない毛が生えていて、何と言うか・・・

リアルでした!


さて、余興が始まりました。

まず始めに舞の披露です。お祝いする人が、新郎新婦の前に出てケラビット族伝統の

音楽に合わせて舞を披露します。

日本人は彼らのようには踊れなかったのですが、みんな自分なりの、思い思いの舞を

披露しました。若い日本人スタッフの男の子が、面白くポーズを決めて、子どもたち

は大喜びで笑っていました。披露した人は、次に舞う人を指名します。

そうして、次から次へと村人たちの舞が続きました。


次は「”豚の脂(あぶら)身”早食い競争」!!!

1000mlの牛乳パック一本分はあろうか!?・・・というような大っきな脂身。

早食い・・・って、食べるのもキツい〜。

場を盛り上げようと、大阪から来たスタッフが完食〜!

見ていてもこちらの胸が悪くなりそう・・・

案の定、翌日は「う〜、気持ち悪ぅ〜」と唸っていました。

お疲れさまでした(苦笑)!


夜中の何時だったでしょう?

新郎新婦が立って、その前に村中の人の、長〜い、ながぁーい行列ができました。

そして、次々に二人にお祝いの言葉をプレゼントながら握手していくのです。

どの顔もどの顔も、笑顔で溢れていました。

ああ・・・!

今思い出しても、その幸せな風景は感動的で、胸がいっぱいになるのです。

私は、感動して思わず泣いて(泣きじゃくって)しまい、言葉を掛けることも出来ま

せんでした。

新婦を引き連れる役の女の子が「Oh!   You  are  so  happy!!」と言っていました。


ちなみに・・新郎新婦は、そのあと朝まで各家のお祝いに呼ばれるので寝られないん

だ、とのことでした・・・。熱帯雨林の結婚式って、体力勝負なんですね〜。


では、お話の続きは、また・・・。