育つはずの母性
悲しいことに、幼児虐待があとを断ちません。
虐待する大人の心理は、どんなものなのでしょうか?
以前実際にギリシャの刑務所で行われていたリンチの軌跡を辿りながら
「リンチする人の心理」をひも解いて行く番組を観たことがあります。
初めて上官にリンチを命令された部下は、恐ろしくて本気で出来ません。
でも、次第に慣れ、とうとうリンチが”快感”になるまでに至るのです。
虐待も、そんな心理があるのでは・・・。
そんな考えが頭をよぎります。
または、望んでいない妊娠だったのかも。
子どもは、親と自分の世界しか知りません。その世界に於いて絶対的に
慕う相手は母親だと思うのです。
私が母になった時、祖母が言ってくれた言葉を思い出します。
「薫ちゃん、母性というものはね、初めからあるわけじゃないのよ。
子どもの成長とともに、育って、大きくなっていくものなの。」
私は、我が子が心から愛おしい。いくつになっても可愛らしくて。
こんな風に思えるということは、実に幸せなことだと思っています。
ドキュメンタリーで見た女の子。
産まれてすぐに施設に預けられ、母親の顔を知らずに育った・・・
小学生の時に母親から送られたぬいぐるみを20歳になっても捨て
られずに大切にしていました。
ある時突然母親という人から施設を通してメールが来ました。
悩んでなやんで悩んでなやんで・・・やっとの思いで会う決心をし、
再会。ところが・・・
「あんたなんて産みたくなかったんや」と告げられてしまうのです。
彼女の悲しみは、いかほどのものであったでしょう。
本当に残酷すぎます。
その後、彼女は「うつ病」になってしまいます。
彼女は「自分の産まれてきた意味」をこれから見つけていくことが
できるでしょうか。どうか見つけてほしい・・と願わずにはいられ
ませんでした。
お母さんの事情は、もちろん私には分かりません。言うに言われぬ
事情があったのでしょう。
でも、でも・・・
ああ、表現力が無くてこの感情をうまく言い表せません。
「世界中の子どもたちが、一度に笑ったら・・・」
そんなステキな世界、虐待も戦争も無い世界を、私たち大人はどう
やって実現させていけばいいのでしょう。
今日はそんなことを考えています。