雪やこんこん・・・

今夜から雪になるかも?しれないとのことですね。

子どもの頃はあんなに雪が待ち遠しくてワクワクしたのに、どうして大人になると憂鬱に

なってしまうのでしょう。

「あ〜、雪掻きしなくちゃ」とか「寒いなあ」とか、負担ばかり気になってしまう。

結花の前も、ちょっと道路の長さがあるので「自宅も結花も雪掻きか〜!!」と全くもっ

て喜べません。


そのてん、子どもはいいですね〜。無邪気に遊ぶことしか頭にない。

小3の息子なんて、雪が降ったら朝から早起きして一人で何度も雪遊びに行ったりします。

楽しくて楽しくて仕方がないみたい。


そこで、ちょっと思い出したのがこれ。


遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえ

こそ動がるれ。

舞え舞え蝸牛、舞はぬものならば、馬の子や牛の子に蹴させてん、踏破せてん、真に

美しく舞うたらば、華の園まで遊ばせん。仏は常にいませども、現(うつつ)ならぬ

ぞあわれなる、人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見え給ふ。

平安時代末期 『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』より


梁塵秘抄を知らなくても、耳にしたことがあるのではないでしょうか(私も知らなかった

ですけど)。

遊びをせんとやうまれけむ・・・・

表現、観察眼、すべてが素晴らしいです。本来子どもって、そういう存在なのですよね。


それからもう一つ。


太郎を眠らせ、太郎の家根に雪ふりつむ

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ     三好達治


まさしく日本の原風景が思い浮かぶ詩ですが、この詩を読んで、日本の原風景を思い浮か

べる子どもたちがどれくらいいるのか・・・

そう思うと、少し寂しく思えたりします。


結花の歌声(歌声喫茶)

毎月第一水曜日 午後2時〜4時

参加費 1,000円(お飲物付き)

歌集の貸し出しあります。


リクエストされた歌を、ピアノの伴奏に合わせて、みんなで歌う・・・

ただそれだけです。

進行係の語りも時々入り、時には参加者の人生が垣間見えることも。

毎回とても楽しく歌い、交流しています。男性の参加者も徐々に増加中ですよ!

是非一度覗きにいらしてください ♪


サラワクの話5 〜私が訪れたジャングルの村〜

マレーシアのサラワク州。カリマンタン島(ボルネオ島)の東側に位置します。

現在もここから沢山の木材が輸入されています。更に彼らを苦しめている問題は、

パームオイルを採るための油ヤシの広大なプランテーションです。

日本でも、あらゆるところにパームオイルが使われています。アイスクリームや揚

げせんべいなどの食品や、せっけんなど。結花で使用しているせっけんにも・・・。

つまり、日本人が深く関わっている問題、と言えるのです。


私が結花にこうして関わるようになったことと、サラワクの熱帯林を守る運動をし

てきたことは、繋がっていると感じています。


さて、R子さんとHリーの結婚式の話です。

R子さんとHリーは、結婚式をケラビット族の伝統的なやり方で行いたいと望みま

した。

悲しいかな、こんな山奥のジャングルの村においても伝統は失われつつありました。

結婚する人はみな街へ出て、西洋風のドレスを着て写真を撮るのです。それが文明

的で、かつ憧れでした。

ですから、伝統的な結婚式を行うには、まずお年寄りから取材を始めなければなら

なかったそうです。

どんな儀式で、どんな料理で、どんな衣装で・・・。

何もかも用意しなければならなかった。

それでも二人は、ケラビット族の伝統を守りたかったのでしょう。


それが・・・結婚式は三日三晩通して行われました!うーん、長過ぎる〜。


(長いので、ここでは一日目の結婚式の様子をご紹介します。)

新郎新婦の衣装は黒のベッチン風の布(ジャングルだというのに!!)に、黄色や

赤色の明るく鮮やかなビーズ飾りが沢山ついたものでした。新婦の頭、手首、足首

にも明るいビーズ飾りが。

男の子と女の子の子どもの代表が新郎新婦を引き連れて入場です。


ご両人が定位置につくと、まずはお祈り(現在彼らは敬けんなクリスチャンなので

す)。それからお互いに出された料理を食べさせる儀式。

あと何をしたかしら?詳しくは忘れちゃいましたが・・・。

彼らは普段、肉は食さないようですが、結婚式となると特別のトクベツです。

なにしろ、この日のために用意された”山イノシシ(豚)”2頭(もちろん寸前まで生

きてました)を解体して、スープと、あぶった肉が並べられました。彼らにとっては

滅多に口に出来ないご馳走なのでしょう。

しかし、スープは、スープと言うよりは”搾った脂”と言った方がしっくりきそうなも

ので、これは日本人にはかなりキツくて私は少ししか食べられませんでした。

お肉はとても美味しかったですが、取りきれない毛が生えていて、何と言うか・・・

リアルでした!


さて、余興が始まりました。

まず始めに舞の披露です。お祝いする人が、新郎新婦の前に出てケラビット族伝統の

音楽に合わせて舞を披露します。

日本人は彼らのようには踊れなかったのですが、みんな自分なりの、思い思いの舞を

披露しました。若い日本人スタッフの男の子が、面白くポーズを決めて、子どもたち

は大喜びで笑っていました。披露した人は、次に舞う人を指名します。

そうして、次から次へと村人たちの舞が続きました。


次は「”豚の脂(あぶら)身”早食い競争」!!!

1000mlの牛乳パック一本分はあろうか!?・・・というような大っきな脂身。

早食い・・・って、食べるのもキツい〜。

場を盛り上げようと、大阪から来たスタッフが完食〜!

見ていてもこちらの胸が悪くなりそう・・・

案の定、翌日は「う〜、気持ち悪ぅ〜」と唸っていました。

お疲れさまでした(苦笑)!


夜中の何時だったでしょう?

新郎新婦が立って、その前に村中の人の、長〜い、ながぁーい行列ができました。

そして、次々に二人にお祝いの言葉をプレゼントながら握手していくのです。

どの顔もどの顔も、笑顔で溢れていました。

ああ・・・!

今思い出しても、その幸せな風景は感動的で、胸がいっぱいになるのです。

私は、感動して思わず泣いて(泣きじゃくって)しまい、言葉を掛けることも出来ま

せんでした。

新婦を引き連れる役の女の子が「Oh!   You  are  so  happy!!」と言っていました。


ちなみに・・新郎新婦は、そのあと朝まで各家のお祝いに呼ばれるので寝られないん

だ、とのことでした・・・。熱帯雨林の結婚式って、体力勝負なんですね〜。


では、お話の続きは、また・・・。



「伝統」などと、偉そうに言っていても・・・

結花に時々来て下さる、朗読家の森優子さんと、演出家の鈴木之彦さんが一昨日来て下さいました。

その日は、葛飾区の小学校で、太宰治の「走れメロス」の朗読のお手伝いをしてきた、というお話

でした。

子どもたちも先生も、思ったより本格的な演出だったのでビックリされていたそうです。


でも、話していて実は私、恥ずかしいなあという思いになっていました。


偉そうに「伝統文化を伝えていくために結花は・・・」なあんて、言っていますが、日本文学の殆ど

を、読んだことがないのです。

これはいかん、今からでも取りあえず取っ掛かりに「走れメロス」を読んでみようかしら?

矢切にちなんで「野菊の墓」は二度ほど読んだのですが・・・。


父が大変な本好きなのに、私はどうしてこんなに本を読まずに来たのか?

私が子どもの頃、父からことあるごとに「本を読みなさい」と言われており、正直重かったですね。

自分にとって魅力的な本に出会わなかったこともあるのかな〜。

父から渡される本は、どれも私にとってはレベルが高くて、読む気がしなくて(父と私の知性のレベ

ル差があり過ぎなんです!)。


まあ、人のせいばかりには出来ませんが、読書の楽しさを知ったのはすごーく遅くて、23歳くらい

の頃だったと思います。

それは、興味の対象が出来たからでした。


「環境保護」。

一番初めに影響を受けたのは、書店で何気なく手にした「自然流せっけん読本」(森田光徳著:農文

協)でした。

合成洗剤で儲かっていた会社の社長さんであった著者が、ある時にその害に気付き、全てを捨てて、

せっけんの会社を作り、歩んできた苦労の歴史。「この社長さんはホンモノだ!」と、とっさに思い

ました。

合成洗剤がどうして悪いのか、何故せっけんなのか。社会の仕組みや、私たちが知らないうちにコン

トロールされているCMの影響などが語られ、大変勉強になる本でした。

だから結花では合成洗剤は使っていないのです。

 

ただ、若かっただけに(性格としても)思い込みが激しくて、色々なことにストイックになりすぎて

家族や友人には迷惑をかけたこともありました(今では反省しています!!!)。

 

更に、当時私が仕事としていた建築設計の仕事が、知らないうちに熱帯雨林の森と人々とを苦しめて

いるということを知ったからでした。私が出来ることは何かないのだろうか?とにかくまずは知らな

くちゃならない・・・。

設計や建築現場。仕事をしていても、頭のどこかで苦しかったです。


とにかくそんな訳で、遅咲きながら少しは読書をするようになったのです。


私の知識は、本当に少なく、また偏っているのですが、日本人ならせめて有名な文学作品のいくつか

は、読んでおきたいものですねえ・・・。


伝統・文化の伝承、これからの時代・・・

蔵のギャラリー・喫茶 結花は、伝統的な建築です。まさに伝統文化と言えます。

おもてなしはまだまだの結花ですが、それだけは事実。

結花では、出来るだけ季節のお飾りをするように心がけています。

一月のお正月飾りから始まって、節分、おひな様、花まつり、端午の節句、・・・。

結花が伝統的な建物ゆえに、少しでも伝統文化を忘れずにいたい。また、伝えていきたい。

そんな思いからやっています。

最近は自宅でそんな「季節」を感じる余裕が無くなりました。おひな様と端午の節句くらい

でしょうか?


そんな「伝統・文化」について、最近思うところがあります。


あるショッピングモールで、”木”の雰囲気を全面的に醸し出している家具屋に入りました。

そこで民芸風の箪笥が売られていたのですが、本物に似せた、出来の悪い、ひどいもので

した。塗装で雰囲気を出していますが、造りがお粗末です。まあ、値段もとてもお安かっ

たのですが。

しかし、本物がどんなものか、今の人は恐らくほとんど知らないので、あの程度のもので満

足してしまうかもしれません。


また、巷に外食産業が沢山増え、週末には家族でファミレス・・・というご家族も多いこと

でしょう。

今の子どもたちは、「本物の味」がどんなものなのか、知っているのでしょうか?

昆布と鰹節などでとった、本物のお出汁の微妙な旨味を。


家を建てようと思ったら、ちょっとお金があるお宅は有名なハウスメーカーに依頼。ちょっ

と足りないお宅は小さなハウスメーカーに、もっと足りないお宅は建て売り住宅を購入。

今はざっとこんな具合でしょうか。

地元の大工さん(工務店)にお願いしよう、などという人は本当に稀でしょう。

「企業」というスタイルじゃないと安心できない、という理由もあるのかもしれませんが。



本物の家具、本物の味、本物の建築物・・・

結花の持ち主(私の父)は、伝統的な建築物に関わる全ての職人を守っていこうと運動して

おりますが、これからの世代に伝承していくことは、それこそ”至難の業”かもしれません。

本物を伝えていくこと・・・これは実に大変な作業になることでしょう。

本当は、教育現場でも努力してほしい部分です。


結花でお出ししているお食事は、地味ですが、野菜は矢切ないしは松戸市内で採れた新鮮で、

無農薬か低農薬のお野菜を使用しています。どれにも化学調味料は入れていません。

合成洗剤も使用していません。


手前味噌ですが、私はファミレスよりも美味しいと思っています。

まあ、”華”がないですけどね。


ですが、地味でも古くさくても、結花からはこれからも日本人の文化を伝えていかれるような

催しやお食事をご提供してきたい・・・そう思っています。